34.渓谷でバーベキュー
96年に高雄市内の工事のためしょっちゅう行き来していました。いろいろ問題もありましたが工事そのものは順調で一段落したところで土建屋の副社長が工事関係者をあつめて懇親会をやろうと言いだしました。1つの現場のために副社長まで出てくるのですから力のいれ具合がわかります。家族サービスも兼ねて大々的にやることに話が発展し、じゃあすこし遠くまで出かけようと、茂林という自然公園でバーベキュー大会に決定したのです。茂林マオリンは高雄から北東に2時間近くいったところにあります。
当日、ホテルに車4台で迎えにあらわれたのにはビックリしました。何しろ総勢20人を越えているのですから。副社長・秘書嬢・現場所長・工事監督夫妻・下請けのコンクリート屋女社長・そこの若い衆・鉄筋屋の番頭さん・だれやらの友人・誰かの子供などなどいったいどういう関係かわからない人間のほうが多いくらいです。
台湾の企業は社員旅行をする会社が多いのです。ホテルの貸し切りとか飛行機のチャーターなどよくあります。おかげで泊まっていたホテルのレストランで食べられなくなったことも。ホテルの玄関に貼りだされる宿泊企業名を読んでみて下さい、けっこう大企業があります。
さて、くだんの土建屋さんも例にもれず社員旅行は毎年やるそうで日本・フィリピン・タイなどまで遠征するそうです。もちろんすべて会社持ち。いいなあ。行き先も社長が決めるのでなく社員の希望で決めるそうです。今回のバーベキュー大会もそれにならって決めたようで、工事担当だけでなくその家族まで含めて皆でワイワイ楽しくがモットーです。

高樹の町でちょっと休憩
高雄から北に走って高樹・美濃と山に近づいてくるとヤシ畑や果物畑が続き、中には檳榔畑もあります。台北では噛んでいるのを見たことはないですが(売っているのはよく見た)高雄や台南ではよく見ます。日本語のできる現場所長がいろいろ説明してくれたのは、高雄の道路ぞいで見掛ける檳榔店にときどきいる檳榔小姐のこと。ガラス張の小屋にスケスケのブラウス・超ミニのスカートで売っているのです。最近(2003年)は台北など北のほうでは風紀を乱すとかで禁止されていますが、どっこい南ではよ〜く繁盛してます。
運転している副社長の趣味はバードウォッチングだそうで、車には単眼鏡を積んであり自慢されてしまいました。空を飛ぶツバメを見ては、あれは○○ツバメと教えてくれるのですが、飛んでいるツバメのシッポの形など僕には見えません。ウーム、好きこそ上手なれというけど僕にはどうも...焼き鳥の方がいいんだけど。
茂林の自然公園ゲートで料金を払い車は狭い道をどんどん入っていきます。ガードレールもないガケを見下ろしながらかなり奥まで行くと開けた河原に降りて到着。
さっそく石でカマドをこしらえ、タキ木を集めて火をおこします。あっという間に準備が進みますが僕たちはボーッと見てるだけ。どこかの子供と遊ぶくらいしかすることがありません。そのうちにデキタと呼ばれ、後は呑む・食う・呑むの繰り返し。
谷間に開けた場所が目的地
たくさんの人が来ています
私と梁副総経理でパチリ
食材やビールもクーラーに入れて
遊び相手を探していた子供と
並んで〜と呼ばれて
    後列左より  竟成の若い衆・下請コンクリート屋の女社長・ 私 ・梁副総経理・営業部長?
    前列左より  知らない・誰かの彼女・私の同僚の加古さん・梁さんお秘書嬢


2014/6/19  もう時効なのでこの会社のことを記憶をたよりに書きます。
   「竟成股份有限公司」チンチェン
    土木工事が主体の土建工事会社で、設計はやっていない。
    会社は台湾高雄にあり支店はないが、台北から高雄まで西側の工事をしている。
    台湾新幹線の橋脚もしたらしい。
    総経理は王ワン、副総経理は梁リャン、薫事長は陳チン。
    友人はこの副総経理の兄で、梁世忠といいます。
    会社の景気もよかったので、このような福祉厚生に厚かったのです。
    あるとき、高雄空港でバッタリ陳薫事長と出くわしました。国際線だったので
    どこに?と聞くとベトナムだそうです。
    何の会社か忘れましたが、土建会社ではない別の業種に投資をしているのだと。
    それから5年ほど経って竟成は倒産したと梁さんから聞きました。
    本業は黒字だったのに、アヤシイ海外投資で大損をしたと。
    その1つに、南アフリカでゴルフ場に手を出したのが致命傷だそうです。
    思わず「何で南アフリカでゴルフ場?」と叫ぶと「私もそう思う」
    弟は香港に行ったそうで、それ以来聞いたことがありません。
    工事部長だった張簡さんは高雄を中心とする寺院建設業をしていて
    こちらはそこそこ順調に暮らせているそう。
    梁さんは倒産時はすでに退職していたので経済的被害はなかったのですが
    長年勤めてきた会社が薫事長のバカ投資でなくなったことに怒っていました。


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