16.子守り
ジャカルタの有名インドネシア料理店ポンドック・ラグナに初めて行った時のこと。
外国人より現地人のほうが多い店で、魚の丸揚げが有名です。店の中に池があり魚が泳いでいます。連れて行ってくれた上司が、池の前で幼児をつれた白ワンピースの10才くらいの女の子を指して、彼女が何かわかるか?と不思議な質問をしました。名前でもなく・年齢でもなく一体何を質問しているのかつかみかねていると、あれは子守りだと。
地方から出稼ぎに来ていれば田舎で暮らすよりは経済的には豊かな暮らしだろうけれども、身売りされた場合もあり必ずしも喜ぶべき状態ではないはずです。雇い主が食事をしているあいだ守っ子はただ子供の世話をするだけで、いっしょに食事をすることは有りません。世話をするのが仕事ですから、当然と言えば当然なのですが幼い守っ子が豪華なレストランで食事もせず働くというのは少しショックな光景でした。
何がショックだったのか整理してみると
小さな子供が働いている ありふれた光景でショックではない
子供が子守りをしている これもありふれた光景。かつては日本でも
雇い主の食事中に働いている これも当たり前
レストランで食事中に子守りしている この点にひっかかったのです。では雇い主は子供を連れてきてはいけないのでしょうか?あるいは守っ子にもレストランで食べさせるべきだったのでしょうか?そんなことはないですね。どうも感傷的になっていたようです。食事の場所が自宅からレストランに変っただけで、守っ子のするべき仕事は同じはずです。他人が食べている間に自分が働くのをどうこう思うようなヘナチョコは絶対にいません。僕たち日本人が思うよりはるかに強いのですから。
相当に飛躍しますが、守っ子をカワイソーと思うのはアジア人への差別と同根の発想です。雨の横断歩道でたたずむカサ小僧をカワイソーと思うのとまったく同じですが、小銭を払って渡るこちらの人のやさしさはありません。
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