16.バンコクの陽炎
先日、本棚を整理していて分厚い紙束が出てきました。メルマガ版[バンコクの陽炎]です。
98年〜99年のころのことで、まだ自宅のPCはネットにつないではおらず会社のPCでメルマガを見てプリントアウトしたものが出てきたのです(公私混同、服務規程違反、横領ですね、タハハ)。メルマガ購読を始めた頃はまだ陽炎が爆発的に知られる前だったので、何か自分が発掘したような気持ちになってたのを覚えています。私自身はインドネシアの仕事が終わり国内でホッと一息ついてた時期です。
バンコクにおける主人公の滝澤氏の過去の女性遍歴の私小説で、自分自身の経験や同僚の話などから身につまされるような気がして毎週待ち遠しかったものです。どこそこの国でこんなHな体験をしたというような風俗体験記ばかりの中で、主人公と女性との関係を主題にした異色な(今も)メルマガです。このメルマガをHPにまとめたものも作者から用意されており、バックナンバーを見ることができたのです。物語が終了するとともにHPも閉鎖され、いつしか僕のPCからもメルマガは整理されてしまいました。それがふとしたきっかけで復刻版HPがあることを知り、なつかしくてリンクしてしまいました。
作者はすでにタイを離れ韓国で仕事をされているそうで、[韓国の陽炎]をいつかまた始めるとか。首を長くして待っています。復刻版HPでは少々ゴタゴタしており、ちと心配ではありますが。
この文章を書いてから思わぬメールが届きました。2004/6/25のことです。
なんとこのページを見た滝澤氏からのものでした。当時のことをなつかしく思われたのでしょう。当時の思い入れの強かった文体が、やさしい(疲れているのかな?)文体に変わっていましたが。メールの最後の「滝澤」の名前がその日ずっと僕の胸にひびいていました。
2005/12/4
ある方から「バンコクの陽炎」のタイトルで突然メールをいただきました。私と同様に刊行当時に愛読されていたそうです。陽炎をきっかけにアジアに興味を持つようになったとか。バックナンバーを探しているとのこと。「なぜ復刻版HPを見ないのかな?」と軽く考えて復刻サイトを覗いてみると、何と閉鎖されていたのです。正確には、フォルダーがあるだけでファイルが全て削除(あるいはどこかへ待避)されていました。当時への思い入れがあるだけに残念ではありますが仕方ないですね。
それにしても、陽炎ファンがここにもいたか、という嬉しいメールでした。確か当時のマグマグでは発行数が1位だったと記憶しています。
陽炎のデータがアーカイブされているので紹介しておきます。
http://web.archive.org/web/20040613161408/http://www2u.biglobe.ne.jp/~bangkok/
最近復刻版のHPができたので紹介します。2007/12
http://web.archive.org/web/20040613161408/www2u.biglobe.ne.jp/%7Ebangkok/
2013/10/8
また別の方から「陽炎」のエピローグを探していると問い合わせがありました。
復刻サイトを見つけたが、本文だけでエピローグがなかったとのこと。
15年も前のメルマガを今も読む人がいるとは驚きです。
滝澤氏には申し訳ない言い方ですが、文学的には評価の低い作品です。
ですが、海外でバリバリ働く人・そこで遊ぶ人にとっての同時代性がウケたのです。
残念ながら保存してあるハードコピーには希望の部分がありませんでした。
ひょっとしたら10年も電源を入れていないPCにデータが残っているかも知れませんが
今更ジャンクパーツ探して修理する気力がありません。
2013/10/13
2007年の復刻版をコピーしていたのを思い出しました。
オリジナルをレイアウトし直して画像を追加したものですが、文章は変えていないとのことでした。
とはいえ、滝澤さん本人が閉鎖したものを私が再びアップするのはイケナイ事ですので
ここで紹介することはありません。
2013/10/16
今になって陽炎配信中に滝澤氏とメールを1度だけ交換したのを思い出しました。
彼はバンコク駐在でジャカルタには数回来たことはあるが街のことは知らないと。
当時からバンコクの夜は有名で、行ったことのない僕でさえ知っていたのです。
ジャカルタは都会ではあるのですが歓楽街としては一般的ではなかった(今も)のです。
駐在員として東南アジアをかけまわる人が知らないというのは逆に驚きでしたが
僕が始めて台湾やジャカルタの夜の町を案内された時のことを思い出すと納得です。
全く知らない場所に踏み込む勇気は駐在員にはありません。これは危険回避のため当然です。
事前にリサーチしたり、同僚・上司・知り合いなどに連れて行ってもらうのが普通ですよね。
たとえ目の前にピンクの妖しい明かりがあっても、知らない店には入らない。これが鉄則です。
そういう意味で滝澤氏は注意深いのです。
わざわざ危険地帯に自分から入るのは普通の社会人はしません。してはいけません。
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