14.トイレ
ジャカルタ市内の雑居ビル(日系のテナントが多い)で仕事をしているといろんな職種の人がこのビルの裏方で働いているのがわかってきます。もちろんそれぞれの会社にいるオフィスボーイなどは別です。例えば、ビル敷地入り口の守衛、ビル内玄関の受付け(これも守衛)、駐車場の案内係、廊下・トイレの掃除人、トイレットペーパの管理人などなど。ビルは多少クタビれてはいますが近代的な(世界中どこにでもある)デザインですがこの国特有の部分が興味深いものです。誰でも一番気になるのはやはりトイレ。各階には男女別々のトイレがあり、その男性用トイレはこんな感じでした。
扉をあけて入ると大きな鏡の前に2つ洗面器があり、チャンと水が出ますし液体石鹸も出ます。チョロチョロ水がもれていることもないので、けっこう維持管理はできています。鏡の前に紙コップが数個あるぐらいで床にもゴミはなく清潔そうです。日本の事務所ビルのトイレと大差ないので抵抗なく使えます。洗面器はカランをひねるタイプ、小便器は便器上のフラッシュボタンを押すタイプです。自動式はごく一部の高級ホテルくらいしかありません。個室は輸入品の洋式便器で、便座も便座カバーも壊れてはいません。壁にはペーパーホルダーにちゃんとロール紙が入っており、ない場合はごくまれで、すぐに補充されます。違う点は個室の便器横にシャワーがあるくらい。これはイスラム圏ではよく見るもので、左手でお尻を洗うためのものです。
ここまでは予想の範囲だったのですが、ある日、先客が1人いる隣でオシッコをしていて、何やら隣人がゴソゴソしだしたのです。紙コップを持ってその水をチンチンにかけていたのです。ようやく気がついたのは、モスリムは大も小もきれいに洗うんだということが。いろんな本に大については記述があるのですが小については全く触れられていないことをご存じでしょうか?
この人達からすれば、外国人(西欧人・日本人など)はトイレでウンチをお尻にコスリつけたりシッコのついたチンチンをそのまましまうキタナイ連中、だと思っているだろうなあ。
鏡の前においてあったのはそのためのものでした。水は小便器の上から出てくるのを受けていました。洗面器からではありませんので念のため。
残念ながら個室の中でどのように洗っているのかは、訊ねていいものかどうかよくわからなかったのです。いろいろな場所のいろんなトイレを見て想像することはできますが、細かい微妙な点はさて??? ましてや女性用トイレについてはまったくわかりません。
ジャカルタを離れ田舎町にある工場の従業員用トイレに入ったときのことです。
トイレの横にはお祈りスペースがあり足洗場もついています。小便器はおなじようなタイプですが、個室にはシャガミ式便器(トルコ式と言いますがこの名前には抵抗あります)がありそれぞれ短いホースつきのカランで洗うようになっています。カランの下には缶詰の空き缶が置いてあります。
推測できる洗いかたは
ホースは短いので直接にお尻にかけることは不可能。
×手のひらに水をうけてそれで洗う
この場合、空き缶の使いみちが不明
○空き缶に水をいれ、それをお尻にかける。
この場合、右手でカランをひねり左手で空き缶を持つ。お尻に水をかけたら一旦空き缶を床に置き、左手の指で洗う。最後に右手でカランをひねって左手を洗う。
こんなふうに想像できます。そこで最初の事務所の個室に戻って、右手を汚さない方法を推測するとこうです。
○シャワーノズルがけっこう長いので直接に水をかけることができます。シャワーヘッドを左手に持ち右手でカランをまわす。このとき体をねじらなければならないのが難点。水をお尻にかけたらシャワーヘッドをもとに戻し左手の指で洗う。最後に左手をどうやって洗うかが問題です。右手はカランを持つから左手をシャワーにかざせばよいと思うでしょうが、それは甘い!シャワーヘッドは床にころがっていて、壁には掛けるものがありません。空き缶も置いてなかったのですが、どうも紙コップがあやしいのです。お尻の場合も紙コップが活躍するんじゃないかと推理しているのですが定かでありません。
田舎のトイレならトイレに小さな水槽があって水かけヒシャクのようなものが置いてあるだけでカランもペーパーも置いてありません。ヒシャクでかけるか桶にくんだのを手ですくってかけるしかないのです。しかたないので指で洗ったのですが、ちょっとインビな気持ちよさを感じてしまいました。ゴワゴワした紙よりずっと快適ではあります。
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