大阪をホジクル 38. カレー屋でハム

よく通うカレー屋さん "王様のスプーン" 、ある日カウンターにハムのチラシが。
壁に落語独演会のポスターが貼ってあったりする不思議な店なので聞いてみると
知り合いが大阪郊外の宝塚で製造販売しているんだとか。 (宝塚ハム工房)
以来、何度も注文してハムステーキを楽しむようになりました。
   なんでカレー屋でハム売ってるネン

薄い薄いハムカツも肉のカケラも見えないコロッケも大阪人にはごく普通。
オカズになったり、オヤツになったり。
さすがにハムステーキは夕食の真ん中になりますが。
娘に分けると、何とバーベキューに使うんだそう。 う~ん、それは違うゾ。

人数と値段のプレッシャーに耐えて買ったハムとか豚バラ肉を
自分の思い通りの大きさ・厚さに切り分ける贅沢感
これは貰ったハムでは得られないのです。
たとえ近所の市場の肉屋のでも、身銭を切った品物には
かかった手間と金額に見合った悦楽が隠れているのです。

Luxe, Calme et Volupté
  贅沢          静寂                 快楽
なぜかフランス語の授業で聞いた古い詩の一節が。
   幕末頃に書かれたボードレールの「Les fleurs du mal 悪の華」

さらに連想は、京都で下宿していた同級生の食生活に飛びます。
貧乏学生生活を自慢する友人は、肉屋の2階に住み
ハムの切り落として残ったヘタや向かいのパン屋から貰う食パンの耳
大事に残しておいた貰いもののカニ缶詰を試験前にようやく食べ
見事に食あたりをして再試験を受けることに。

ハムカツを嬉しがった頃からするとずいぶんと贅沢な生活ができるようになりました。
高級ハムを食べると、貧乏だが楽しかったホロ苦い若さを思い出すのです。


もっともっと連想はジャンプし
何で〇〇で△△売ってるネン
大昔、北アフリカのアブナイ国で仕事していた頃、同僚の経理マンの体験
ある日銀行へ行くと窓口のニーチャンが
   「卵いるか? Do you want egg?」
なぜ銀行でタマゴ売ってるネン? 聞き間違い? この国ではeggは硬貨のことか?
聞きなおすと、やっぱり「ニワトリのタマゴ」だと。
自分の家でたくさんあるので、窓口で売るんだと  ほぇ~~~
同僚の返事がどうだったのか忘れましたが
   朝食には出てこなかった
ある場面で思いもかけない言葉がでてくると、意味が掴めなくなります。
想定範囲内で理解しようとして、行き詰まるのです。
   カレー屋でハム の裏側にはこんな秘密が隠れています。


イカン、何もホジクッてないぞ。




































以下引用  悪の華 第49編 旅へのいざない (悪の華は珍しく韻文詩)
XLIX
L’INVITATION AU VOYAGE

Mon enfant, ma sœur,
Songe à la douceur
D’aller là-bas vivre ensemble ;
— Aimer à loisir,
Aimer et mourir
Au pays qui te ressemble !
Les soleils mouillés
De ces ciels brouillés
Pour mon esprit ont les charmes
Si mystérieux
De tes traîtres yeux,
Brillant à travers leurs larmes.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.

Des meubles luisants,
Polis par les ans,
Décoreraient notre chambre ;
Les plus rares fleurs
Mêlant leurs odeurs
Aux vagues senteurs de l’ambre,
Les riches plafonds,
Les miroirs profonds,
La splendeur orientale,
Tout y parlerait
À l’âme en secret Sa douce langue natale.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.

Vois sur ces canaux
Dormir ces vaisseaux
Dont l’humeur est vagabonde ;
C’est pour assouvir
Ton moindre désir
Qu’ils viennent du bout du monde.
— Les soleils couchants
Revêtent les champs,
Les canaux, la ville entière,
D’hyacinthe et d’or ;

— Le monde s’endort
Dans une chaude lumière.

Là, tout n’est qu’ordre et beauté,
Luxe, calme et volupté.