2. アジア歴史資料センター
古い資料を探す先に国立公文書館のアジア歴史資料センターがあります。
ここには膨大な軍資料が画像公開されています。
(検索のための索引はありますが、全文テキスト化されていません)
探し方にコツ忍耐力が必要なのです。
忍耐力は生まれついてのものなので、コツをここでバラしちゃいましょう。

以前に台湾の淡水の調査で軍艦海門を話題にしました。
そのときの資料をどうやって探し出したか、もう忘れちゃいましたが
調査の流れを参考までに紹介します。
     希望の資料がイッパツで見つかることは一度もありませんでした
     こうすれば、見つかるなどという方法はありません。
     コツ・忍耐・偶然 です。(アハハ 参考にもなってないヨ)

@国立公文書館のHPを開いて右下の「アジア歴史資料センター」を開いてください。
   

A一番目立つ赤い「資料の閲覧」ボタンを押します。
   
            右端の中に「DjVuプラグイン」とあるのは聞きなれない圧縮解凍ツールです。
            ダウンロードしなくても閲覧することは可能です。

Bキーワードを入力して検索ボタンを押すだけです。
 ただし、検索範囲は国立公文書館・外交史料館・防衛研究所・琉球大学図書館だけです。
   

C「海門」だけで何と1287件の資料がありました。
 もうすこし絞り込む必要があります。
   

D「海門」+「小椋」で調べてみましが、ヒットしませんでした。
  私のいつものやり方なら、最初にもっと絞り込んで、例えば「海門 小椋 報告」として、見つからなければ条件を緩めます。
   

E「海門」+「小倉」とすると8件ありました。
  いつもなら、8件全部を調べます。30件程度まではそうするでしょうね。
   

F今回はその8件の中の最後の資料タイトルが面白そうなので開くことにします。(普段なら全部見ます)
  タイトルからすると、日清戦争の歴史を日本海軍が戦後にまとめた資料のようです。
  ただし、戦史本文ではなく、その付図です。
   

G開いてみるとこうでした。日清海戦史付図の表紙です。
   

H2ページ目には艦隊序列図があります。
  艦隊旗艦は天龍で、「海門の位置は天龍艦長の指示による」とあります。
   
  題名は「第1回発航運送船及び護送艦名ならびに陣形予定図表」

I艦隊の航路で、大連(上端)を出港して山東半島沖合を縦断する図です。
   

J上段は読みやすいですが難しい旧字を使っているので、左横書きに直すと
   山東役
   榮城湾電信線切断隊動作略地図  要するに清国の陸上の通信線を切断する場所を示したものです。
   図中左に「端舟」とあり、カッターで陸戦隊を上陸させたことが読み取れます。
   

K清国軍艦の艦影図です。戦後に日本艦となる定遠や鎮遠も見えます。
   


今回の資料は日清戦争後に作成された戦史ですが、軍隊は命令と実施と報告が必須でその書類が残されます。
軍令部からの命令は艦隊司令部・戦隊司令部・艦長と上意下達なのは当然ですが
行動の後、報告することも必須で、今度は逆に上部に順を追って報告されます。
命令書と報告書はセットになっているのですが、資料センターではバラバラに管理されています。

上記のように、アジア歴史資料センターの公開する資料は元資料の画像データと、その検索用キーワードだけなので
探し出すのに骨が折れます。
ですが、全く関係がないけれども、興味深い資料が目に留まることもあります。
本屋でもそうですよね?隣の棚の本に目が行ったりしませんか?