57.犬食うべからず

インドネシア総選挙が終わり、闘争民主党(ムガワティ)が第1党になりました。
それとワンコと何の関係があるかって?

選挙結果を詳しく知ろうとしてJakarta Postを開くと、こんな見出しがあるのです。
Dogs should be off the menu 犬をメニューから外せ
    というわけで、何の関係もありません。


5月8日にジョグジャで4つの動物の権利を主張する団体の数十人(たった?)が街を行進し
犬はペットであって食糧ではないと呼びかけた。

犬肉は全インドネシアで広く消費されており、北スマトラのMedan・Jakarta・西ジャワのBandung・
中部ジャワのYogyakarta; Surakarta・Bali・北スラウェシのManadoなど多くの地域で食べられています。
                 (北バリではよく見かけます)
“犬を捕まえ・盗み・運び・酷く殺したりするのは法律No. 18/2009に違反している”
行進のかたわらで保護団体AFJの Dessy Zahara Angelina Paneは語った。
"ManadoとMedanでは犬肉はごちそうと考えられ、毎週1,800頭が殺されている。"
“Yogyakartaだけでも毎週360頭が殺され、Jakartaでは毎週720頭です"と続ける。
   (1000万人の大都市Jakartaで1日に100頭というのは少ないです。)
     人口あたりの消費量からすると地方都市のほうが多いですね。)

“Yogyakarta, Jakarta, Manado and Medanの4都市で毎年224,640頭が殺されています。”
World Organization for Animal Health (OIE)と Codex Alimentarius Commission (CAC)を引き合いにして
Dessyは、犬肉を消費することは禁止されるべきだと述べた。
郊外から犬を都市に運び込むことは伝染病の温床となるとも。
   (野犬であれば病気の恐れは高いでしょうね。でも野犬かな?)
例えばYogyakartaでは犬は西ジャワのPangandaranから毎週170頭が送られる。
4つの愛護団体とは
    Animal Friends Jogjathe (AFJ)
    Jakarta Animal Aid Network (JAAN)
    Garda Satwa Indonesia (GSI)
    Bali Animal Welfare Association (BAWA)
犬肉を使った料理、rica-rica や tongseng は大都市の道路沿いの屋台で売られることが多く
   (バリ島南部ではAyam Rica-ricaを目にします。)
犬肉はスタミナ増強になると信じる人もいる。
   (インドネシアに限らず広い地域で信じられています)
一方、Yogyakartaの経済・開発担当の副知事Didik Purwadiは、犬だけでなく肉全般の管理規制を調査中だと。
“犬は食糧ではないことに同意する。”とも。
   この発言は肉全般の生産・流通の衛生管理を改善したい、という文面だったと解釈します
   最初に紹介した写真で、ボードが英語であることに注意してください。
   犬肉反対を一体誰に言っているのでしょうか?
   Yogyakartaの町中でこんなボードを掲げても理解してもらえません。
   犬肉反対!とインドネシア語かジャワ語で書くとどうなるか。
   ジョグジャはイスラム至上主義とは一線を画し、地域文化に根差した穏健なムスリムがほとんどです。
   古くからの文化を大切にしており、だからこそスルタンが今も健在なのです。
   西洋の文化を持ち込んでも意味はありません。
   急激な変化を望んでいないのですから。
   コンビニやATMがジンワリといつの間にか広がるように、犬肉反対もそうなるのでしょうか?