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99.インドネシアに住む

「よろずインドネシア」を覗いていてこんな情報があることに気がつきました。
　　　「中小企業投資促進マニュアル」
これは全国商工会連合会が作成したもので、日本国内の中小企業がインドネシアに進出するための各種法的手続きをまとめたもので膨大な量があります。インドネシアの１次資料ではありませんが、それに近いものできっと役に立（僕のようなモノズキにも）ちます。

今回はその中からインドネシアでの土地の権利について紹介します。
なにしろバリに移住したいとかリタイア後にロングステイしたいとか、はてはバリ人と結婚して家を買いたい、とか、そんな話題をネット上でしばしば見かけます。中には、YASUOさんのようにリゾートビラ開発を手がけてしまう本物までおられます。　土地を買ってもダマし取られるとか外国人は不動産を所有することができないとかいろんな情報が乱れているのですが、信頼できる情報が少ないのが実情です。　このマニュアルのように整理されたものは少ないというかありません。

［１］土地権利の考え方の違い
(1)すべての土地は国家が支配・管理する権限（Hak Menguasai Negara）を持っており、個人・企業は、国家から土地を使用する権利を与えられるにすぎない。一般に言う所有権とはこの利用権を指す。
(2)土地になんらかの権利を取得した者は、公共の福祉の為に利用する責任を負っている。従って、なんらかの権利を持ちながらこれを放置したりし公共の福祉に合致しない場合には、この権利は消滅する。
(3)国家から与えられる土地の権利には、いくつかの種類があり、それぞれ権利の内容（権利の期間・取得することが認められる者等）や取得手続が異なる。
(4)土地基本法に反しない限り、地方・地域の非成文の慣習法（Hukum Adat）が適用される。ジャワとバリでは当然違ってくる。
(5)登記制度はあるものの、インフラの未整備等の事情から実際の登記が全土で行われているわけではなく、特に地方においては未登記の土地が数多く残されている。

インドネシアでは相続税がないので相続人のあいだでどう分配するか決着がつくまで放置されることがあり、その土地の権利所有者が誰なのかは簡単にはわからない。登記されていてもそうなのであるから、未登記であればなおさらである。

［２］権利のいろいろ
上記(3)でいう各種の権利とは
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

権利名	国の許可	外国人	権利期限
Hak Milik（所有権）	必要	外国人・外資不可	権利期限
Hak Guna Usaha（事業権）	必要	インドネシア人・企業	35年更新可
Hak Guna Bangunan（建築権）	必要	インドネシア人・企業	30年更新可
Hak Pakai（利用権）	必要	外人も可	25年更新可
Hak Membuka Tanah（開墾権）	必要
Hak Memungut Hasil Hutan（森林産出物採取権）	必要
Hak Sewa（貸借権）	不要
Hak Usaha Bagi Hasil（小作権）	不要
Hak Gadai（土地質権）	不要
Hak Menumpang（滞在権）	不要
Hak Sewa Tanah Pertanian（農地貸借権）	不要

ですから、インドネシア国籍を持たず個人で観光客として滞在するなら不動産を所有することはできないわけです。唯一Hak Pakai（利用権）だけが公式に認められるのです。相続も売買も可能ですし担保にすることもできます。

表にまとめたものが最初のＨＰにまとめられています。

ではよく見かける不動産取得とはどのようになっているのでしょうか？
①結婚した現地人あるいはその親族の名義で所有する
　ここに問題があるわけですね。誰でも後の展開が予想できるのに（笑）
②現地の個人あるいは企業が所有する不動産を賃貸する
　貸借権あるいは滞在権というわけです。これは私的契約になり、権利登記はありません。
　よくあるビラの年間○○日宿泊保障というのは滞在権にあたります。

［３］長期滞在すると税金がかかる
いろんな問題をクリアしてようやく落ち着いたころに税金がのしかかってきます。
(1)所得税
就労ビザではないでしょうから働くことはできません（少なくともタテマエは）ので収入はない、それなのに？　あるでしょ？日本での収入が。　1年の半分以上をインドネシア国内に滞在しておれば、日本での収入もすべてインドネシアでの所得税の対象になります。例えば年金月額２５万円あるとすると、年額３００万円（２億６０００万ＲＰスッゲ～～）に対して３０％かかります。当然、日本での健康保険・介護保険などは別途払う必要があります。従って４０％くらいが引かれることになりそうです。
預金利息に対する所得税は日本より少し低い１５％です。利率がずっとよいことを考えると現金の一部をインドネシアに預金するのはいいでしょうね。倒産などのリスクを考えると全額を預金してはいけません。
インドネシアで所得全額についての所得税を払えばもちろん日本国内で払う必要はありませんが、手続きは必要になります。ただ、そうすると日本非居住者となるので他にいろいろやっかいな問題が出てきそうです。税率の差や非居住の問題を考えると所得税を納めなくてよい滞在日数１８２日以下にすることを薦めます。
インドネシア税務署が個人の日本での収入をどうやって知ることができるのか、ここがポイントではあります。
とはいえ、もし所得税の申告をしていないと判断されれば、追徴金は税額の５０％となります。

(2)土地建物税
所有していなければもちろん税金はかかりませんよね。

ここまで書いてJakarta Post のニュースで外国人にも不動産取得ができる法改正とのこと。 2008/12/16
以下紹介します。---------------------------------------------------------------
通商産業委員会議長が12月15日に発言した内容によると、不動産売買の拡大を見込んで外国人にも取得できるよう来年に法律を作る。ただ不動産のうち何が取得できるのか不明確だが、SBYは原則として外国人にも不動産市場をオープンすることに同意したと議長は言っている。
"昨月にSBYと国土庁長官とデベロッパと私との会談で外国人の不動産取得を2007年に合法化すると合意した。"
また全国デベロッパ協会REIの会合で議長は現行の土地法改正は時間がかかりすぎるので大統領令を発効するとも発言している。
"大統領令にはfixed-term building use right建物の固定期間使用権として最大70年を提案している。"
1996年の外国人の不動産保有法では外国人は最大25年の固定期間利用権だけを認めていた。がしかし制限が厳しくて実際に適用された例はない。
会談をうけて通商産業委員会はREIメンバー・ノタリス（公証人）・立法議員を招いて新しい法律について議論した。
"幸いにもこの法律は2007年に出るだろう。外国人がインドネシアにもっと投資をしてくれることを期待する。"
インドネシアはマレーシアなどから不動産投資の面で遅れている。マレーシアでは外国人に98年リースを認めているし、シンガポールでは6階以上のアパートメントの所有を認めている。

以下つづく

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