221.クリス工房

今回の東バリ行きの4つの目的 のうちの4番目の話です。
   ①シドゥメンの朝のタンボ景色を見る
   ②在住の方に織物の話をうかがう
   ③シドゥメンの結婚式を見物
   ④クリス工房を訪問

こんなのがほしい

これでもいいぞ

シドゥメンでの結婚式が10時過ぎに始まり、到着しているガイドさんを待たせて、式の見物をしてました。坊様もおられての式は最後まで見て、その後のパーティ(バリ料理とシドゥメン名物のゲンジェGenjekと、バンリ県から来たジョゲッ)は残念ながら見ないで宿を出ました。
行き先の電話番号だけ聞いてきたガイドさんは、肝心の電話がつながらず途方にくれ、クルンクンまで戻ってから住所を知る人から教えてもらいました。
そこから
  クルンクン市内を出て村をめざし
  畑の中を通る道路を走り
  この辺かなと思っても通りの名札が見当たらず
  通りにあったベンケルのニーチャンに聞くと
  Uターンしてワルンのすこし先を左に入る小道がある。その突き当たりだと。
  その小道を見つけて入っていくと途中の集会所でウパチャラの準備中
  あ~きっとウパチャラで忙しくて電話に出ないのかも
  突き当たりに目指すクリス工房は右の方だと看板がありました。
  あたりはぜ~んぶ住宅、何の看板もありません。
  1軒に入ってみると隣だとか
  隣へ入ると誰もおらず、さらにズンズンはいると
  奥からイカツイおじさんが出てきました。
  「私がそのクリス屋です」
ああ、見つかって良かった良かった。
早速、工房を案内してもらうと、今日はお休みの様子。前もって電話で言ってあったんだけど?
聞くと、ウパチャラで忙しいのと神様のパワーが足りないので今はできないとのこと。
う~ん、飲みすぎのような顔色とおなかの出具合ですが?親方。
ともあれ、作業の説明を聞くことができました。 3層構造の鉄を鍛えながら成形し
 
 日本刀の断面          クリスの断面(僕の想像)

彫りこみをしてから焼き入れをします。研ぐと模様がきれいに浮かび上がるのです。ただし日本刀の波紋は刃の部分に出ますが、クリスではほぼ全面に出るのが違います。
ということは、きっと最初は3層(軟鉄+鋼+軟鉄)で、それを折り返しては叩くことを繰り返し、ミルフィーユ状態にするんだと思います。下の図のような鍛造をしているのでしょう。

これに成型と彫りこみをしてから焼き入れをし、研ぐと模様が出てくるのでしょう。これは次回聞いてみることにします。
それと、話の途中で親方は新聞紙に包んだ品物を出し、これも使うんだと。アメリカから輸入した隕鉄(メテオール)だそうです。わざわざ出してきたのは自慢したかったのでしょう。どのように使うのかは次回のお楽しみ。

もちろん工房には祭壇があり、神に祈ってから作業を始めるのですが、自分にパワーがさずからない時は作業しないそうです。カレンダーで良い日が決まるとも。今月は7月28日がその日だと言うのですが、それまで待てませ~~ん。

工房とは別の部屋にサンプルがあるので見ていけと。
フルーツナイフくらいの小さくて真っ直ぐなものは女性用だと。男性用はもっと大きくてクネクネ曲がったものが普通だとか。でもサンプルには曲がりの数がいろいろあるのです。聞くと、1つの曲がりが神様1人を表し、奇数の曲がりをしていて(なぜ偶数でないのか聞くのを忘れた)その曲がり数だけの神様が所持者を守ってくれるそうです。なので、坊様・警察官・軍人とかは数が多い。(恨まれることが多いから)
そのほかにも健康祈願とか金持ちになりたいとか、目的に応じて作るんだと、鼻息あらく言ってました。確かに、クネクネ曲がった刃に黒い流れ模様はなにか怪しい魔力を感じさせます。ミヤゲモノじゃあこうはいきません。
そこで、家族の健康を守るクリスを注文したいが、できるか?と質問すると
できる。でも今はパワーがない。
それはわかってる、あんたのパワーの付いたときに作ってくれるな?来年受け取りに来ていいか?
余裕をみて3ケ月必要だ。お前の来る3ケ月前に注文してくれ。そうすれば問題ない。
よし、受け取りに来るまで元気でいろよ。


というわけで、クリスの注文は未完です。来年受け取れますように。
申し訳ないですが、住所も写真も今回は一切教えることはできません。
実は意外な落とし穴があります。銃刀法
クネクネした両刃でさらに先端が尖っているので、きっと銃刀法違反になります。
刃をなくしたり先端を丸めたりすれば、神様は怒るかも。
ちょいと調べると
   警察で仮所有許可証をもらう(空港警察か住所地警察か?)
   教育委員会の登録審査会(年2回開催)に現物と仮許可証をもって行く
   登録料6300円なり
   許可されれば登録証を発行(5週間かかるんだと)
審査会できっと「こんなチャッチィのは美術的価値がないからダメ」と言われるんだろうなあ
現物の価格と登録にかかる費用はきっと似たようなもの。そんなにガンバル必要あるか?
と投げ出したくなるのが、今から予想できる。 う~ん、困った。